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お知らせ・コラム

<薬膳コラム>

2018年6月1日(金)

【薬膳コラム】ホウノキ 厚朴

国際中医師、国際中医薬膳師、薬剤師、紡ぐしあわせ薬膳協会認定講師の伊東千鶴子です。

 この時期になると、私の住む地方では山や道路沿いでホウノキ(朴の木)の白い花が咲き、
夏の訪れを知らせてくれます。開花の時期に摘まれた青々としたホウノキの葉(朴葉)に
酢飯を包んだ朴葉寿司という郷土食があります。生姜、山椒の若芽、きゃらぶき、椎茸、
じゃこなど取り入れる具材や味付けは家庭によってそれぞれ異なると聞いています。
ご飯が温かいうちに葉に包むと、葉の香りがご飯に移って美味しさが増すとも教えていただきました。



 枯れたホウノキの葉はその上に味噌をのせて焼く朴葉味噌に、ホウノキの若葉は
酢飯や五目御飯、餅を包むのに使われてきました。古くは万葉の時代から、
ホウノキの葉が食べ物を盛る器やお酒の盃代わりに用いられていたのは、
葉が大きくて比較的火に強く、香り良く殺菌作用のある成分を含んでいるからです。
樹皮にも殺菌成分が多く含まれており、苦味成分も合わさって病原菌や昆虫による食害から自己防衛しています。

 

 日本原産のモクレン科ホウノキの樹皮は厚朴(こうぼく)といわれる生薬です。
中国では厚朴といえばカラホウを指すので、日本の厚朴を和厚朴、中国のそれを

唐厚朴(からこうぼく)と呼んで区別することがあります。厚朴にはおなかを温め、
胸腹部の膨満を除き、便秘、咳や痰、のどのつかえなどを治す働きがあります。
厚朴は不安神経症、神経性胃炎など、のどに何かひっかかっているような感じがある時に
用いる半夏厚朴湯、腹部が硬くつかえて便秘する方が服用する大承気湯、胃がつかえたり、
もたれたりして、消化不良や食欲不振のある時によい平胃散などに配合されています。

 

平成30年6月1日

国際中医師、国際中医薬膳師、薬剤師、紡ぐしあわせ薬膳協会認定講師 伊東千鶴子