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お知らせ・コラム

<薬膳コラム>

2022年11月15日(火)

【薬膳コラム】柚子

国際中医師、国際中医薬膳師、薬剤師、
紡ぐしあわせ薬膳協会認定講師 伊東千鶴子です。

「桃栗三年柿八年 柚子は遅くて十三年」、
幼い頃、誰か大人がそらんじているのを
聞いた記憶があります。



桃と栗は種をまいて実がなるまで三年、
柿は八年かかる、何事も成し遂げるまでに
相当の年数を要するということわざです。

実際に、桃や栗、柿が収穫されるまで
それくらいかかるようで、柚子は九年、
十八年など色々な言い伝えがあり、

いづれにしても実を結ぶまで、長い年月を費やします。
そのため、早く収穫できるような
接ぎ木の栽培がおこなわれています。



黄色く熟した柚子の旬は今です。
絞った果汁や果皮の香りが、料理の味をひきたてて、
一層美味しくしてくれます。



江戸時代の和歌食物本草に、
「柚(ゆ)は酸(す)ゆく 温(うん)のものなり 
食を消す 孕み女(はらみおんな/妊婦)の 不食にぞ良き」、
「柚(ゆ)の酢こそ 胃中の悪気(あくけ) 去りにけり
 また酒の毒 消すものとしれ」と書かれています。



柚子(食性食味/涼甘酸、帰経/肺胃)には
中焦を調整して和らげる、
胃の機能を正常にして食欲を促す、
気の流れをよくする、
肺の機能を正常にして穏やかな呼吸にする、
脾を健やかにする、
酒酔いを醒ます、

柚子皮(食性食味/温苦辛、帰経/肺脾肝)には
気の流れをよくする、
水分代謝の失調により生じた痰を取り除く、
消化不良を改善する、
胃を正常にさせる、
身体に必要な水分を生み出す、
酒酔いを醒ます働きがあります。

 

柚子の果肉、果皮ともにテルペンが、
果皮にリモネンが豊富に含まれていて、
リラックス作用をもたらします。


さて、柚子が手に入ったら、果汁をたっぷり絞って、
果皮を刻んで柚子味噌を作りましょうっと。
寒くなると、温かい田楽が恋しくなります。
祖母や母の味を再現できるでしょうか。

 

2022年11月15日



薬剤師、国際中医師、国際中医薬膳師
紡ぐしあわせ薬膳協会認定講師 伊東千鶴子