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<薬膳コラム>
2022年10月15日(土)
【薬膳コラム】栗
国際中医師、国際中医薬膳師、薬剤師、
紡ぐしあわせ薬膳協会認定講師 伊東千鶴子です。
栗の実る季節です。
栗きんとんの里に嫁いでからというもの、
秋の楽しみ方がひとつ増えて、
ありがたく思っています。
栗は、食性食味が温甘、帰経が脾胃腎、
消化吸収をつかさどる脾を健やかにする、
胃の働きを高める、腎を補う、筋力を強める、
血の巡りをよくする、出血を止める、
咳を止める、水分代謝の失調により
生じた痰を取り除く作用があります。
中国で神農本草経とほぼ同時代に
作られたとされる名医別録に、
「気を益し、腸胃を濃(さかん)にし、
腎気を補い、人をして飢(うえ)に耐えせしむ。」
の記述があり、栗が古くから食薬として
扱われていたことがわかります。
古い中医学者が「ある人が脚の弱る病気になった時、
栗の樹の下に行き、数升の栗を食べたところ、
すぐに起って歩けるようになったという語り伝えがある。
これは栗の実が腎を補うということであって、
このように生で食べるべきだ。」と、説いていますが、
それについて、本草綱目では
服餌(ふくじ/病を克服するために口にする)なら
蒸し曝して食すると宜しいとあります。
また、本草綱目には、栗の実だけでなく、
今ではあまり一般的ではありませんが黒殻、
いが、花、樹皮、根などのききめが記載されていました。
栗の渋皮には抗酸化作用のあるタンニンが
多く含まれているので、できれば渋皮を
残して調理することをお勧めします。
水に浸し、栗の先端にキッチンばさみで
切れ目を入れてから茹でると、皮がきれいに剥けます。
2022年10月15日
薬剤師、国際中医師、国際中医薬膳師
紡ぐしあわせ薬膳協会認定講師 伊東千鶴子