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<薬膳コラム>
2022年2月1日(火)
【薬膳コラム】粥のすすめ
国際中医師、国際中医薬膳師、薬剤師、
紡ぐしあわせ薬膳協会認定講師 伊東千鶴子です。
日本では、粥は体調の悪くなった時に
食べるものという印象があるかと思います。
中国には朝食に摂る習慣があると伝え聞きました。
炊いたご飯を水やお湯で煮た雑炊ではなく、
ご飯を炊く時の倍量以上の水を加えて米を煮て作るのが粥です。
明時代に李時珍が著した本草書「本草綱目」に粥の項があり、
「粥の字は米が釜中に在って相属する有様の形容だ。」
と記されています。
なかでも、うるち米の粥は「甘し、温、平にして毒なし。
小便を利し、煩渇(甚だしい口渇)を止め、脾胃を養う。」とあります。
さらに、朝起きて粥を大きなお椀一杯食べれば、
空腹で胃が虚なるところへ水穀の気がおこり、
補の効果は些少なものでないなど、
身体に有益な粥を毎日食べるよう、すすめています。
また、古くより薬物を用いた粥で
病を治す方法がなされてきました。
比較的手に入りやすくて、寒い時季にふさわしい粥を
本草綱目から挙げますと、にらを加えた韭菜粥は
中(焦)を温め、下(焦)を暖め、生姜粥は中(焦)を温め、
悪を辟(しりぞ)けます。
冬の季節の影響を受けやすい腎を補うには、
腎精を補し、腸、胃を固くする山芋を加えた
薯蕷粥や精血を補し、腎気を益す枸杞子粥がよいでしょう。
汗を発し、肌を解すという葱鼓粥の
詳しいレシピはわかりませんが、
本来の日本の習慣に付け足すとして、
風邪のひきはじめに体表にある邪気を払い除き、
消化を助ける葱をたっぷり入れて、
生薬の淡豆鼓に代わって食材の豆鼓で味付けした粥を
召し上がってはいかがでしょうか。
2022年2月1日
国際中医師、国際中医薬膳師、薬剤師、
紡ぐしあわせ薬膳協会認定講師 伊東千鶴子