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<薬膳コラム>
2021年6月1日(火)
【薬膳コラム】どくだみ 十薬
薬剤師、国際中医師、国際中医薬膳師、
紡ぐしあわせ薬膳協会認定講師の伊東千鶴子です。
どくだみは日本各地で自生する植物です。
独特の香りを放つので、道端や空き地などで
見つかるかと思います。
子供の頃は十字の白い花がかわいらしくて、
無心に摘んでいたのを覚えています。
その花びらのように見えるものは葉が
変形した苞(ほう)と呼ばれる部位で、
中央に立つ淡い黄色の穂状のものが花にあたります。
どくだみの花期の地上部はジュウヤク(十薬)という生薬で、
葉と花穂の多いもの、根茎をつけないものを良品としています。
十の薬効があるから十薬、また重宝するからという所以で
重薬とも書きます。どくだみという名は毒を抑えるという意の
「毒矯み(どくたみ)」に由来するなど、諸説あります。
ジュウヤクは解熱、解毒、消炎作用があり、
民間薬としては便秘、尿量減少、吹き出物などに用いられます。
五物解毒散料(ごもつげどくさんりょう)という方剤では、
主薬のジュウヤクが熱毒、おでき、痔、脱肛の毒を発散させます。
中国名は魚腥草(ぎょせいそう)といって、どくだみの全草を用い、
肺癰(はいよう/肺の化膿症)の要薬とされています。
どくだみは花が咲いている時期に摘み取り、
水で洗った後、乾燥させます。ちょうど梅雨時にあたり、
雨が降っていたり、雨が止んでいても、湿気が多く、
じめっとしていたりで、乾かしてお茶にしていただこうと
何度か試みましたが、私にはなかなか上手にできず、
香りを楽しむだけで終わってしまいます。
どくだみのにおい成分デカノイルアセトアルデヒドには
抗菌、抗かび作用があり、摘んで室内に置いておくだけでも
よろしいかと思います。
2021年6月1日
薬剤師、国際中医師、国際中医薬膳師、
紡ぐしあわせ薬膳協会認定講師 伊東千鶴子