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<薬膳コラム>
2021年3月15日(月)
【薬膳コラム】春を待つ人参
薬剤師、国際中医師、国際中医薬膳師、
紡ぐしあわせ薬膳協会認定講師の伊東千鶴子です。
薬膳で人参のお話をすると、
高麗人参とも呼ばれる生薬のオタネニンジンを
思い浮かべる方もいらっしゃるかと思います。
今回はスーパーでも購入できる人参
(中国名は胡蘿葡、紅蘿葡、読みはこらふ)です。
人参は消化吸収をつかさどる脾胃の機能を正常にし、
消化器官に停滞している未消化のものを
取り除いて消化不良を解消します。
春になって自然界の陽気が増えると、
体内の陽気も高まってきて、肝の機能が活発になります。
この時期に陰液(血や津液)が不足していると、
肝気が上がりやすく、めまい、高血圧、不眠、
いらいら、怒りっぽいなどの症状が現れます。
人参は血を補い、津液を補って体内を潤し、
それらが起こらないようにします。
目は肝と外界を結ぶ竅(あな)です。
肝血が不足すると、目を滋養できなくなり、
眼精疲労、かすみ目、夜盲、視力低下などが現れます。
人参はそのような目の疾患を改善します。
人参はキャロットの名前の由来でもある
β-カロチンの含有量が非常に多く、
β-カロチンよりも抗酸化作用の強いα-カロチン、
ビタミンCやカリウム、カルシウムなどの
ビタミンやミネラルも豊富です。
オレンジ色の西洋種の人参は通年、
お店で見かけることができますが、
4~7月が春夏人参、
10~12月が冬人参の旬とされています。
皆様は春の訪れを待っていた人参をご存じでしょうか。
前年秋に収穫できる人参を雪の下で冬を越させる、
山間地の豪雪地域での栽培によるもので、
ちょうど今が旬です。
新鮮で甘いフルーツのような味わいの人参です。
制約された日々の生活のなかでも、
何かしら暖かな春を感じられれば、嬉しいですね。
2021年3月15日
薬剤師、国際中医師、国際中医薬膳師、
紡ぐしあわせ薬膳協会認定講師 伊東千鶴子