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<薬膳コラム>
2020年10月1日(木)
【薬膳コラム】食欲の秋 中医学の消化薬
薬剤師、国際中医師、国際中医薬膳師、薬剤師、
紡ぐしあわせ薬膳協会認定講師の伊東千鶴子です。
秋といえば読書の秋、芸術の秋、スポーツの秋、
そして食欲の秋、食事は美味しくいただきたいですね。
暴飲暴食などにより、あるいは元々、脾胃が弱いために、
消化管内に飲食物が停滞して、おなかの痛みやはり、
吐き気や下痢、便秘などが生じたときには食事を控えて
おなかを休めるのも治療法となるでしょう。
中医学には消導薬あるいは消食薬、消化薬と呼ばれ、
消化器官に停滞している未消化物を取り除き、
消化不良を改善する生薬があります。それらを挙げていきます。
山楂子(さんざし)はサンザシなどの成熟果実で、
肉の脂肪を溶かして消化を助ける、消化不良による腹満、
腹痛、下痢を解消する働きがあります。
産後、血の巡りが悪いために生じる腹痛や悪露の停滞などにもよいです。
山楂子を食後のお茶にしたり、煎液を肉料理に取り入れたりするといいでしょう。
山楂子は乾燥後に刻んだもののほかに、そのまま食べられるドライフルーツやジュース、
お酒なども市販されています。
神麹(しんきく、しんぎく)は小麦粉、麩(ふすま)に
鮮青蒿(せんせいこう)、鮮蒼茸(せんそうじ)、
鮮辣蓼(せんらつりょう)の液汁と赤小豆(せきしょうず)、
杏仁(きょうにん)の粉末を混和して発酵させたもので、
特に穀物の消化不良に効果があります。
莱菔子(らいふくし)はダイコンの成熟種子で、
特に麺類の消化不良に、麦芽(ばくが)はオオムギの発芽させたもみで、
特に米、麺、芋などでんぷん質の消化不良に適します。
鶏内金はニワトリの砂嚢(さのう/すなぎも)の内膜で、
消化不良を改善する力が強くすべての飲食積滞に適します。
また遺尿、遺精、頻尿を止める作用もあり、小児の夜尿症や結石にも利用されています。
2020年10月1日
薬剤師、国際中医師、国際中医薬膳師、
紡ぐしあわせ薬膳協会認定講師 伊東千鶴子