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<薬膳コラム>
2024年12月15日(日)
【薬膳コラム】黒豆
国際中医師、国際中医薬膳師、薬剤師、
紡ぐしあわせ薬膳協会認定講師 伊東千鶴子です。
年の瀬も迫りました。
新年を迎える準備は進んでいますか。
(私はこれからです。)
お正月と言えば、おせち料理。
おせちは節目の日に
神様に捧げる供物(御節供)を
指していましたが、
いつしかお正月の節句の料理を
こう呼ぶようになりました。
おせちは手作りですか。
お取り寄せされますか。
食べないという選択もあるでしょう。
私も数年前までは仕事をしながらおせちを作り、
除夜の鐘が鳴る頃には、熱が出て臥せっていました。
今はその反動で、黒豆、数の子、田作りの三つ肴、
あと何種かを用意するだけにして、
その分、ゆったりとした
年末年始を過ごしています。
三つ肴の謂れは諸説ありますが、
黒豆は一年の邪気を祓って
まめで暮らせるように、
数の子はにしん(二親)の卵は多く、
子宝に恵まれるように、田作りは田畑の豊作、
五穀豊穣を願って、いただきます。
たたきごぼうか酢ごぼうが
置き換わる地方もあり、
ごぼうは地に根を張ることから
子孫繁栄、末永い幸せの意味が
込められています。
本草綱目によると、
黒豆は古くより、能(よ)く
腎を補するとして、鹽(しお)を入れて
煮て常食されてきました。
五行説にあてはめると、豆は水行の腎の穀、
その形が類していて、
しかも水に配当される黒色は腎に通じており、
水の味にあたる鹹(かん・しおからい)の
鹽を用いれば、結果として、
腎を補うと説明できます。
黒豆には補腎のほか、
身体の余分な水を排泄する、
消化吸収をつかさどる脾を健やかにする、
血を補い、血の巡りをよくする、
体内の老廃物や毒素を取り除く働きがあります。
老化防止や疲労回復によい食材なので、
おせちの煮豆以外にも、
大いに使いたいですね。
2024年12月15日
薬剤師、国際中医師、国際中医薬膳師、
紡ぐしあわせ薬膳協会認定講師 伊東千鶴子