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<薬膳コラム>
2024年12月1日(日)
【薬膳コラム】くちなし
国際中医師、国際中医薬膳師、薬剤師、
紡ぐしあわせ薬膳協会認定講師 伊東千鶴子です。
師走に入りました。
師走の語源は師(僧侶)が
お経をあげるために馳せ走る月、
お坊さんじゃなくても慌ただしくて、
小走りにもなっちゃいますよね。
さて、今の時期なら、
スーパーなどで目にするくちなしの実は、
おせち料理の一品でもある
栗きんとんの色付けに用いられます。
少量で綺麗に色づくのに、多めに入れて、
苦くなった経験があります。
苦味のものだからでした。
しかも寒性です。
くちなしはアカネ科の植物で、
果実は古くから染料として使われていました。
そして今も、栗きんとんや沢庵など
食品の黄色着色に用いられます。
くちなしは口無しと書き、
その和名は果実が熟しても
裂開しないことに由来します。
アカネ科クチナシの果実で、
ときに湯通しまたは蒸したものは
山梔子(さんしし)という生薬です。
中国最古の薬物書である神農本草経に、
枝子(しし・梔子)という名で
収載されています。
山梔子は清熱する、
充血性の炎症を鎮める効能を有し、
清熱瀉火薬に分類されます。
配合処方には、黄連を主薬とし、
熱による毒症状を解毒することから
名付けられた黄連解毒湯(おうれんげどくとう)、
黄疸などに効果のある
茵蔯蒿湯(いんちんこうとう)や
梔子柏皮湯(ししはくひとう)
などがあります。
くちなしの花が咲くのは6、7月です。
岐阜県の内藤記念くすり博物館薬草園では、
見どころカレンダーによると、
12月にくちなしの実がなる様子が
見られるようです。
くちなしの花
くちなしの実
くちなしの実
2024年12月1日
薬剤師、国際中医師、国際中医薬膳師、
紡ぐしあわせ薬膳協会認定講師 伊東千鶴子