HOME > お知らせ・コラム一覧 > 【薬膳コラム】やまいも
<薬膳コラム>
2024年11月15日(金)
【薬膳コラム】やまいも
国際中医師、国際中医薬膳師、薬剤師、
紡ぐしあわせ薬膳協会認定講師 伊東千鶴子です。
やまいもと呼ばれるものは
ヤマノイモ、ジネンジョ(自然薯)、
ヤマトイモ(大和芋)、ナガイモ(長芋)など
種類も色々、自生するものや栽培品があります。
やまいもは気を補い、消化吸収の働きを正常にし、
肺を養い、腎機能を高めて
生命エネルギーを充実させる働きがあり、
虚労といって気、血、津液が衰弱している時、
咳嗽、頻尿、滑精(精液が漏れる)、むくみ、
消渇(多飲、多食、多尿、消痩など糖尿病様症状)、
口渇のあるとき食べるとよいとされています。
ジアスターゼを含み、消化促進にも働きます。
やまいもは古くから使われ、中国最古の薬物書である
神農本草経に薯蕷(しょよ)という名で
収載されています。
中国の昔話によると、
戦いで敗れた兵が山に逃げ込み、
山のいたるところに生えていた草(やまいも)や
その根を人と馬で食べていたら、
一年近く餓死することもありませんでした。
山中で軍隊を再編成し、ある夜、
敵軍の不備に乗じて下山し、大勝利をおさめ、
失った国土を奪還できました。
その後、人々が食べるようになり、
ただ食糧としてだけでなく、
脾胃を健やかにする、肺と腎を補う効果があり、
脾虚泄瀉(脾が弱って起こる水様性下痢)などの
症状を治すことができると気づき、
山薬と改名したといわれています。
ヤマノイモやナガイモの周皮を除いた
根茎は山薬(さんやく)という生薬です。
加齢とともに衰える腎を補い、
老化に伴い生じる腰痛、尿量減少、
頻尿などを改善する牛車腎気丸、
八味地黄丸ほか、多くの方剤に配合されています。
2024年11月15日
薬剤師、国際中医師、国際中医薬膳師、
紡ぐしあわせ薬膳協会認定講師 伊東千鶴子