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お知らせ・コラム

<薬膳コラム>

2024年9月1日(日)

【薬膳コラム】麦門冬

国際中医師、国際中医薬膳師、薬剤師、
紡ぐしあわせ薬膳協会認定講師 伊東千鶴子です。

中国古典「十州記」に基づき、
語り継がれた、
生薬にまつわる話を紹介いたします。


秦の始皇帝の時代、
一羽の鳥が一株の草を
くわえてやってきました。

その緑の葉は韭菜(にら)のようで、
淡紫色の花びらは緑の葉とあいまって、
とても上品でした。



始皇帝が医術に精通した
縦横家の鬼谷子に問うたところ、
これは東海の瀛州(えいしゅう)にある
不死の薬だと言いました。


 始皇帝はこれを聞き、
方士徐福を使者として派遣し、
少年少女数千人を連れて、
楼船に乗って東海へ入らせ、
不老不死の薬を求めました。

徐福は戻って来ず、
始皇帝が探す仙薬も
夢に過ぎませんでした。
この伝説の不老不死の薬は
麦門冬(ばくもんとう)です。



実のところ、
麦門冬は鬼谷子が言うような
不思議な効果には及びませんが、

陰を養って肺を潤す、
津液を生み出して胃を益す、
心の高ぶりや炎症を冷まして
いらいらを解消する効能がある、
人々の養生における最上品なのです。


さて、近年、新型コロナウイルス感染症の
流行や諸事情により、
病院で処方される咳止めや痰切りの薬、
関連する医療用漢方薬などが
供給不足となっています。

そのひとつ、
麦門冬湯(ばくもんどうとう)という方剤は
痰の切れにくい咳、気管支炎、
気管支喘息に適応し、
乾いた咳によく効きます。

その君薬は麦門冬、
ユリ科ジャノヒゲの根の膨大部
(紡錘根/ぼうすいこんと呼ばれる部分)に
薬効が認められています。


これからの季節、
秋は空気の乾燥が起こり、
気温も下がっていきます。


秋は燥の気が邪となる燥邪の影響で、
肺を傷めやすい時季です。

夏の発汗に伴い、
津液(身体に必要な水分)も
気も乏しくなっています。

風邪やコロナウイルス、
インフルエンザなどの感染や
呼吸器疾患の悪化に気をつけましょう。
一番簡単な養生法は充分な休息です。
健やかに、この季節を乗り越えましょう。

  
  2024月9月1日

薬剤師、国際中医師、国際中医薬膳師、
紡ぐしあわせ薬膳協会認定講師 伊東千鶴子