HOME > お知らせ・コラム一覧 > 【薬膳コラム】塩レモン再び
<薬膳コラム>
2024年4月15日(月)
【薬膳コラム】塩レモン再び
国際中医師、国際中医薬膳師、薬剤師、
紡ぐしあわせ薬膳協会認定講師 伊東千鶴子です。
肝は血を蓄え、腎は精を蓄え、
これら肝血と腎精はお互いを
生み出しあったり、
相手の物質に変化したりという
関係性を持って、
生命力を支えています。
中医学では肝と腎を
大切な臓とみなしていました。
「かんじんかなめ」という言葉があります。
「肝心かなめ」の表記が一般化されていますが、
本来、「かんじんかなめ」の
「かん」と「じん」は
肝と腎を指しています。
昨今、梅干を召し上がらない
家庭が多いようです。
肝を補う酸味の梅と腎を補う
鹹味(かんみ/しおからい)の
塩(にがりの入ったもの)を
使った梅干は、食卓においてほしい一品です。
梅は核に中毒症状を起こす
可能性のあるアミダグリンを含むため、
生食せずに、塩で漬けます。
梅酢が出てきてから、天日干しして、
もみ紫蘇を加える工程は手間がかかりますが、
梅を天日干しなくても、
梅を入れるのにかめを使わず、
チャック付きポリ袋を用いても、
梅漬けは仕上がります。
自家製なら塩の量も加減できます。
さて、塩レモンがブームとなったのは
十年ほど前でした。
酸味のレモンと鹹味の塩を
混ぜ合わせて作る塩レモンなら、
梅干よりも労力をかけずに、
肝腎かなめの肝と腎を補うことができます。
レモンには身体に必要な水分を生み出す、
渇きを癒す、胃の働きを正常にする作用があり、
暑気あたりやつわり、疲れた時にもよく、
レモンの皮も摂ることで
気を巡らせる作用も加わります。
江戸時代の儒学者である貝原益軒翁は、
「養生訓」で、五味偏勝といって、
五味のうち、どれかを多く食べ過ぎるのも
よくないと述べています。
その点に気を付けて、適度にいただきましょう。
2024月4月15日
薬剤師、国際中医師、国際中医薬膳師、
紡ぐしあわせ薬膳協会認定講師 伊東千鶴子