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<薬膳コラム>
2023年10月15日(日)
【薬膳コラム】先人から今へ 米
国際中医師、国際中医薬膳師、薬剤師、
紡ぐしあわせ薬膳協会認定講師 伊東千鶴子です。
天高く馬肥ゆる秋、
新米が美味しいですね。
土鍋で炊くと、格別です。
私たちの主食であるうるち米は、
その食性が温めも冷やしもしない平、
食味が補益、和中、緩急の作用のある
甘、帰経が脾胃肺で、
中焦を補って、
脾の機能を正常にして健やかにする、
胃の働きを調整し正常にさせる、
生命の原動力でもある気を益する、
下痢を止める作用があります。
こうして挙げていくと、
日本人はうるち米の食能を、
身をもって感じ取り、
何世代もわたって
常食し続けてきたのだと理解できます。
そして、うるち米の効率よい収穫や
美味しさへの追及は今も止まず、
生産量トップのこしひかりをはじめ、
新之助(しんのすけ)、富富富(ふふふ)など
品種改良された良品が
作られているのは喜ばしい限りです。
水田による稲作は縄文時代晩期より
行われていたことが分かっています。
元々、野生の稲は赤米で、
突然変異によってできた白米が人々に好まれて、
やがて主流になったと伝え聞いています。
古代米と呼ばれるものは古代から
栽培されていた稲の特色を残した品種を指し、
赤米、黒米もその一種です。
赤米は食性食味が平甘、帰経が脾胃肺、
中焦を補う、気を益する、消化不良を改善する、
血の巡りをよくする作用があります。
赤米に含まれるタンニンには
活性酸素を除去する働きがあると
いわれています。
うるち米のような粘り気はなく、
どちらかというと硬さがあります。
また、黒米は食性食味が平甘、
帰経が脾胃腎、人体に必要な水液である
陰液を補う、腎を補う、脾を健やかにする、
血行を促す、目の疾患を改善する
作用があります。
黒米に含まれるアントシアニンには
抗酸化作用があり、
それは白米や赤米よりも強く、
食物繊維は玄米の8倍といわれています。
うるち米を研いだ後、
赤米や黒米を少量加えて炊くと、
見た目も食感も白米とは異なり、
美味しくいただけます。
2023年10月15日
薬剤師、国際中医師、国際中医薬膳師、
紡ぐしあわせ薬膳協会認定講師 伊東千鶴子