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<薬膳コラム>
2023年9月1日(金)
【薬膳コラム】りんご
国際中医師、国際中医薬膳師、薬剤師、
紡ぐしあわせ薬膳協会認定講師 伊東千鶴子です。
猛暑が続いた夏も終わり、
秋の風が心地よく
感じられるようになりました。
今年も暑かったですね。
お疲れは出ていませんか。
夏の間、発汗により身体に
必要な水分である津液が
身体から放出されたうえ、
これから秋の乾燥した空気の影響を受けると、
さらに津液が損傷します。
また、人体を活動させる気も
汗と一緒に身体の外に出てしまい、
食べ物の消化吸収によって
気血を生み出す脾が
夏の蒸し暑さのせいで失調したままだと、
うまく気を補充することができなくなります。
となれば、気の不足で、身体がだるい、
疲れやすいといういわゆる秋ばてをもたらします。
さて、りんごは優れた貯蔵技術により、
一年中、スーパーマーケットなどで見かけ、
美味しくいただくことができますが、
その収穫時期は8月から1月、今からが旬です。
りんごの食性は身体を温めも冷やしもしない平、
食味は収斂し、引き締める酸と補い、
緩める甘の働きを併せ持ちます。
酸甘化陰あるいは酸甘生津といって、
酸味と甘味が合わさると津液を生み出し、
身体に潤いを与えます。
そして、りんごの帰経は脾胃大腸、
胃を益し、消化を助け、脾を健やかにします。
お酒の酔いを醒ます働きもあります。
さらに、秋の邪気である燥邪の影響を
受けやすい肺を潤します。
こうして挙げていくと、
りんごは夏から秋にかけて、
疲れた身体をいたわってくれる
食物だと思いませんか。
そういえば、子どもの頃、
風邪をひいて食欲がない時、
母がすりおろしたりんごと、
おかゆなら少し食べられたように記憶しています。
りんごを飾り切りしてくれたのは娘婿です。
自分はうさぎりんごも綺麗に作れないのに、
自慢げにお見せいたします。
2023年9月1日
薬剤師、国際中医師、国際中医薬膳師、
紡ぐしあわせ薬膳協会認定講師 伊東千鶴子