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<薬膳コラム>
2023年8月15日(火)
【薬膳コラム】豆腐
国際中医師、国際中医薬膳師、薬剤師、
紡ぐしあわせ薬膳協会認定講師 伊東千鶴子です。
暑くて、食欲のない時、豆腐なら食べられそうと
食卓にあがる機会が多いかと思います。
豆腐は大豆を煮てしぼった汁をにがりなど
の凝固剤を使って固めた食品です。
李時珍によると、豆腐の製造は漢時代、
淮南王(わいなんおう)劉安(りゅうあん)から
始まったと伝えられています。
本草綱目に、豆腐は中(中焦/脾胃)を寛やかにし、
気を益し、脾胃を和し、脹満を消し、
大腸の濁気を下す、さらに熱を清し、
血を散ずと記されています。
日本には、奈良時代、遣唐使により伝えられました。
その後、江戸時代になり、「豆腐八珍」の影響を受け、
豆腐が広く普及しました。
豆腐の食性食味は涼甘、その帰経は脾胃大腸で、
津液を補って体内を潤す、身体の熱を取り除く、
身体に不要なものを排出する、中焦(脾胃)を
調整して和やかにする、
母乳の出をよくする働きがあります。
暑い季節の口の渇きや汗の出過ぎによる津液不足によく
夏ばてに限らず、気や血が虚して
身体が弱っている時に取り入れてほしい食材です。
今の時期なら冷奴もいいですが、
豆腐はやや身体を冷やす涼性のもので、
火にかけないと、その作用は増します。
元々、冷え性の方、長い間冷房のきいた部屋にいる方、
冷たい雨が降る時なら、薬味をたっぷり加えるなどして、
身体を冷やしすぎないように心がけましょう。
私は冷奴を食べると冷えてしまうので、
暑い日のお昼時、小さめのに生姜や葱などをのせて、
時々食べる程度です。
三因制宜といって、食事を摂る人の体質や体調により、
季節や気候により、環境により、
施膳を工夫していくのも薬膳の知恵です。
2023年8月15日
薬剤師、国際中医師、国際中医薬膳師、
紡ぐしあわせ薬膳協会認定講師 伊東千鶴子