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<薬膳コラム>
2023年3月1日(水)
【薬膳コラム】枸杞子 地骨皮
国際中医師、国際中医薬膳師、薬剤師、
紡ぐしあわせ薬膳協会認定講師 伊東千鶴子です。
赤い枸杞の実は、薬膳に馴染みのない方も、
一度は口にしたことがあるかと思います。
スーパーの中華食材売場でも
よく見かけるようになりました。
枸杞の果実は生薬でもあり、
クコシ(枸杞子)といい、肝腎を補い、
目を明らかにする杞菊地黄丸(こぎくじおうがん)に
配合されています。
(写真:枸杞子)
枸杞の根皮はジコッピ(地骨皮)と呼ばれる生薬で、
全身倦怠感があり、口や舌が乾く人の残尿感や頻尿、
排尿痛に用いられる清心蓮子飲(せいしんれんしいん)
などに入っています。
(地骨皮)
中国最古の薬物書といわれる神農本草経に、
「枸杞、味は苦、性は寒、五内(五臓)の邪気、
熱に中(あた)った消渇(糖尿病のような疾患)、
周痺(しゅうひ/全身の疼痛、
頸部のこわばりなどが現れる)を治す。
久しく服すれば、筋骨を軽くし、老いず。」と、
記されています。
神農本草経と同時代に作られたとされる名医別録には、
「枸杞、根は大寒、子(実)は微寒、無毒。
風湿、胸脇の気、客熱の頭痛を下し、
内傷(内臓の病気)、大勞(肺結核のような疾患)、
嘘吸(きょきゅう/呼吸のこと)を補う。
筋骨を堅め、陰を強め、大小腸を利し、寒暑に耐える。」、
「冬に根を採り、春夏に葉を採り、秋に茎と実を採る。」とあり、
古くより枸杞を大いに活用していたことがわかります。
李時珍によると、初めは枸杞の根、苗(葉)、
実、花までも用い、区別はしておらず、
後に枸杞子は滋補薬、地骨皮は退熱薬として
目的に応じて、使われるようになりました。
葉は枸杞葉といって、
民間薬や料理に利用されています。
(写真:枸杞の若葉)
2023年3月1日
薬剤師、国際中医師、国際中医薬膳師、
紡ぐしあわせ薬膳協会認定講師 伊東千鶴子