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<薬膳コラム>
2022年6月1日(水)
【薬膳コラム】烏梅(うばい)
国際中医師、国際中医薬膳師、薬剤師、
紡ぐしあわせ薬膳協会認定講師 伊東千鶴子です。
梅の実る季節になりました。
ウメの未成熟果実を燻蒸した
生薬は烏梅(うばい)といいます。
烏梅は成熟直前の果実を原料としたものがよいとされ、
大きく肥えていて肉厚で核は小さく露出していなくて、
外皮は黒色を呈し、酸味の強いものが良品です。
烏梅の薬味薬性は酸渋平、帰経は肝脾肺大腸、
収渋薬(しゅうじゅうやく)といって、
本来なら身体から漏れ出てはいけないものを
引き締めて止める働きがあります。
例えば、慢性の下痢、下血や血尿、不正子宮出血、
慢性の咳などにあるとき、用いられます。
また、「蛔(かい)は酸を得れば則ち伏す」といわれ、
回虫による腹痛や嘔吐にも安蛔止吐の要薬として使われていました。
さらに、烏梅は身体に必要な水分(津液)を生み出し、
のどの渇きを癒す働きをします。
中国や台湾などでは夏の暑さを追い払うのに、
酸梅湯(さんめいたん)というものが
飲まれると伝え聞いていました。
それは烏梅をメインに山査子(サンザシまたはオオミサンザシの偽果)、
甘草(カンゾウの根及びストロン)、
陳皮(ウンシュウミカンの成熟した果皮)など、
配合はさまざまです。
市販品をいただく機会が何回かありましたが、
酸っぱさよりも甘さが強いように感じました。
梅の未熟果は核に中毒症状を引き起こすアミダグリンを含むため、
生食には適さず、梅をいただくには、いくつかの手間が必要です。
ここ数年、コロナ禍のせいか、気力もなかったのですが、
今年は久しぶりに梅干や蜂蜜を加えた
梅シロップなどを作ってみようかと思っています。
2022年6月1日
薬剤師、国際中医師、国際中医薬膳師、
紡ぐしあわせ薬膳協会認定講師 伊東千鶴子