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<薬膳コラム>
2022年3月15日(火)
【薬膳コラム】にら
国際中医師、国際中医薬膳師、薬剤師、
紡ぐしあわせ薬膳協会認定講師 伊東千鶴子です。
にらは主に畑で栽培されるユリ科の多年草です。
ねぎが葱(き)、あるいは一文字(ひともじ)と呼ばれたのに対して、
にらは二字で成り立っていることから、ふたもじという別名があります。
中国元時代、李杲(りこう)が編纂した「食物本草」には
「韭菜(きゅうさい/にらのこと)は味辛く、
微(やや)酸っぱく、温性で毒はない。
心に入り、五臓を安らげて穏やかにし、胸の熱を除き、
気を下し、能く食欲をおこさせる。病人のためになり、
長く食べるとよい。また、陽を益し、尿に血が混じるのを止め、
腰や膝を暖め、胸や腹の冷痛やかたまりを除く。」と、あります。
現代では、にらは食性食味温辛、帰経は肝胃腎、
陽気を補うことで身体を温める、腎精を補う、
気の巡りや血行をよくする、
瘀血(おけつ/体内で停滞した血液)を取り除く、
体内に蓄積した老廃物や病邪を排出する働きがあるとされています。
抗酸化作用のあるβカロチン、ビタミンCやEも豊富です。
陽気を逃さないようにと閉じこもりがちだった冬が終わり、
いつしか自然界には陽気が増えて、
次第に気温が上昇して暖かくなっています。
人間も陽気が満ちてきて、これから活動しやすく
身体に働きかけるにらは今の時季にふさわしい食材だと思いませんか。
また、にらの成熟種子は韮子(きゅうし)と呼ばれる生薬で、
腎を温めて腎の陽気を強壮にする、腎が弱ったときに起こる精液や
尿の漏れを防ぐ働きがあります。
2022年3月15日
薬剤師、国際中医師、国際中医薬膳師、紡ぐしあわせ薬膳協会認定講師 伊東千鶴子