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お知らせ・コラム

<薬膳コラム>

2021年7月1日(木)

【薬膳コラム】おおばこ 車前子 

薬剤師、国際中医師、国際中医薬膳師、
紡ぐしあわせ薬膳協会認定講師の伊東千鶴子です。


おおばこは日本各地に生息する植物です。
道端でみかける雑草という印象をお持ちかもしれません。



おおばこには4~9月頃、伸びた花茎に穂状の花が付きます。
おおばこの花期の全草を乾燥させたものは
シャゼンソウ(車前草)といって、
民間薬として主に去痰に利用されます。


牛車や馬車が通る道端に多いので、
車前草と呼ばれるようになりました。
人や車に踏みつけられる場所に生息し、種子から粘液を出し、
人の足や車輪にくっついて運ばれて繁殖していきます。



おおばこの種子はシャゼンシ(車前子)と呼ばれ、
神農本草経に気癃(きりゅう/下腹部、陰嚢の脹痛、
排尿困難、排尿痛などが現れる)を治し、痛を止め、
水道(体内を巡る水の経路)を通し、小便を利し、
湿痺(湿邪による関節の腫れや痛みなど)を除くと記されています。



シャゼンシという生薬は消炎、利尿、止瀉作用があり、
黒褐色で光沢のある粒子で質の充実したものを良品としています。
下半身の疲労脱力、尿の異常(多尿、頻尿、乏尿)、排尿痛
、腰痛などのある時に服用する八味地黄丸(はちみじおうがん)に
ゴシツ(牛膝/ヒナタイノコズチの根)と
シャゼンシを加わった牛車腎気丸(ごしゃじんきがん)は
利尿減少とむくみがより強い時に用います。


シャゼンシは残尿感、頻尿、排尿痛などに適応する
清心蓮子飲(せいしんれんしいん)、排尿痛、残尿感、尿の濁り、
帯下などを治す竜胆瀉肝湯(りゅうたんしゃかんとう)では
利尿し、尿道、膀胱など下焦の炎症を取り去る役割を果たしています。

 



 2021年7月1日
薬剤師、国際中医師、国際中医薬膳師、
紡ぐしあわせ薬膳協会認定講師 伊東千鶴子