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<薬膳コラム>
2021年5月1日(土)
【薬膳コラム】牡丹皮 ボタンピ
薬剤師、国際中医師、国際中医薬膳師、
紡ぐしあわせ薬膳協会認定講師の伊東千鶴子です。
目に鮮やかな牡丹の花が咲く時季となりました。
牡丹は中国最古の薬物書である神農本草経にも収載されており、
日本には奈良から平安時代に薬用植物として渡来し、
江戸時代、観賞用としての栽培が盛んになりました。
華やかな大輪の花を咲かせる牡丹は花の王と称されています。
ボタン(牡丹)の根皮はボタンピ(牡丹皮)といわれる生薬で、
筒状で木心がなく、皮が薄く肉厚で香気の強いものが良品とされています。
中医学では気、血、津液(水)という人体を構成する基本物質があり、
それらが人体の正常な生理活動をさせると考えられています。
血は血管内を流れ、栄養を全身に供給して潤いを与えます。
血の流れが滞って、血行不良が起こった状態を血瘀(けつお)といい、
血の流れが滞っていてうっ血した血を瘀血(おけつ)と呼びます。
瘀血があると、肩がこりやすい、肌のくすみやしみが気になる、
いつも同じ場所が痛む、傷跡やあざが消えにくい、
塊のような生理血が出るなどの自覚症状がみられます。
ボタンピには瘀血を溶かして取り除く駆瘀血や鎮静、
鎮痛作用があり、婦人科疾患、月経不順、月経困難、
血流障害、頭痛、腹痛などに応用されます。
「立てば芍薬 座れば牡丹 歩く姿は百合の花」は
女性の美しさを花で例えた言葉です。
日本の漢方では、「座れば牡丹」は
「座るとお尻に根が生えたように動けなくなるのは瘀血のせいなので、
牡丹(ボタンピ)をのむとよい」という解釈が知られています。
瘀血を取り除けば、日頃の肉体的な辛さや肌トラブルが改善され、
本来の健康美をきっと取り戻せることでしょう。
ボタンピが配合される方剤は温経湯(うんけいとう)、
加味逍遥散(かみしょうようさん)、桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)、
大黄牡丹皮湯(だいおうぼたんぴとう)、八味地黄丸(はちみじおうがん)などがあります。
2021年5月1日
薬剤師、国際中医師、国際中医薬膳師、
紡ぐしあわせ薬膳協会認定講師 伊東千鶴子