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<薬膳コラム>
2020年12月15日(火)
【薬膳コラム】百合根
薬剤師、国際中医師、国際中医薬膳師、
薬剤師、紡ぐしあわせ薬膳協会認定講師の
伊東千鶴子です。
気分のすぐれないとき、良い香りをかぐと、
少しは気持ちが楽になりませんか。
お気に入りのアロマオイルやお香を焚いたり、
薫り高い百合の花を飾ったりするのもいいですよね。
中国最古の臨床医学専門書で、
慢性疾患の治療について書かれた
「金匱要略(きんきようりゃく)」
(張仲景/ちょうちゅうけい・著)のなかに、
百合病(ひゃくごうびょう)といって、
食べようとしても食べられない、沈黙して言葉少ない、
眠ろうとしても眠れない、動こうとしても動けないなど、
神経症のような病があります。
それには百合(ひゃくごう)を
配合した方剤が用いられていて、
百合が紀元前から気の病を治してきたことがわかります。
生薬の百合(ひゃくごう)はオニユリ、
ハカタユリなどの鱗片葉(りんぺんよう)を
蒸して乾燥したものです。
ユリの語源のひとつに大きな花が
風に揺り動くからという説があります。
「歩く姿は百合の花」は女性の美しい姿を指すだけでなく、
揺れ動く女性の気持ちをも表すといわれています。
スーパーマーケットで購入できる食用の百合根は
苦みの少ないコオニユリです。
肺を潤し、咳を止める、心の機能亢進を改善し、
精神不安や情緒不安を取り除く働きがあります。
私たちはコロナ禍のなかで、少なからず不安を抱えて、
毎日を過ごしています。百合根をどのように
調理しようかなと考えたり、
調理中の温かな食欲をそそる
においをかいだりすると、
いくらか気分も変わるのではないでしょうか。
百合根を美味しくいただきましょう。
2020年12月15日
薬剤師、国際中医師、国際中医薬膳師、
紡ぐしあわせ薬膳協会認定講師 伊東千鶴子