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お知らせ・コラム

<薬膳コラム>

2020年11月1日(日)

【薬膳コラム】リンドウ 竜胆

薬剤師、国際中医師、国際中医薬膳師、
紡ぐしあわせ薬膳協会認定講師の伊東千鶴子です。


 濃紫色を呈したリンドウの花が咲く秋です。
トウリンドウまたはその他の同属植物の根および根茎は
竜胆(りゅうたん)あるいは竜胆草(りゅうたんそう)とよばれる生薬です。
消炎作用、苦味健胃作用があり、肝胆の炎症、泌尿器および生殖器の炎症、
胃腸の炎症などに応用されます。竜胆は噛むと非常に苦いことから、
竜の胆(きも/胆嚢のこと)に例えられ、その名がつきました(諸説あります)。


味が苦いものほど良品とされている生薬です。中国最古の薬物書である
神農本草経にも収載されていて、愛らしい花の地下に埋もれた部位に薬効を
見出した古人をただ感心するばかりです。


同じリンドウ科のゲンチアナやセンブリにも苦味健胃作用があります。
ゲンチアナは黄色い花を咲かせる植物で、ヨーロッパで自生し、古くより、
その根や根茎が薬用に使われてきました。センブリは日本各地の山野で自生し、
乾燥させた全草が民間薬として用いられています。センブリの別名は当薬(とうやく)、
当(まさ)に薬の意、センブリの名は千回振り出して煎じても苦いことに由来していて、
竜胆よりも苦みが強いといえます。



竜胆が配合されている方剤を挙げていきますと、
竜胆瀉肝湯(りゅうたんしゃかんとう)は比較的体力があり、
下腹部筋肉が緊張する傾向がある方の排尿痛、残尿感、尿の濁り、
おりものに、疏経活血湯(そけいかっけつとう)は関節痛、神経痛、
腰痛、筋肉痛に、立効散(りっこうさん)は抜歯後の疼痛や止痛に用いられ、
竜胆は炎症をとる、湿を去るなどの役割を担います。


2020年11月1日


薬剤師、国際中医師、国際中医薬膳師、
紡ぐしあわせ薬膳協会認定講師 伊東千鶴子