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<薬膳コラム>
2020年6月1日(月)
【薬膳コラム】水無月(みなづき)
薬剤師、国際中医師、国際中医薬膳師、
紡ぐしあわせ薬膳協会認定講師の伊東千鶴子です。
水無月(みなづき)は旧暦6月の別名で、
今の新暦にあてはめると7月頃です。
諸説ありますが、暑さ厳しく水が枯れ、
地上に水の無い月というのが語源のひとつです。
新暦の6月も水無月と呼ばれることもあり、
この月は雨の多い梅雨時にあたるので、
違和感を抱く方も多いかと思います。
さて古くより旧暦6月末日には素戔嗚尊(すさのおのみこと)に
まつわる故事に基づき、夏越の祓(なごしのはらい)という
神事が行われるようになりました。
この日は作法に則り、
「みな月の なごしの祓する人は 千年の命 のぶといふなり」、
「思ふ事 みなつきねとて 麻の葉を きりにきりても 祓ひつるかな」、
「蘇民将来(そみんしょうらい) 蘇民将来」の言葉を唱え、
茅(ちがや)を太く束ねて大きな輪にした茅の輪(ちのわ)をくぐり、
半年のけがれを祓います。
新暦になっても6月30日に各地の神社で行われています。
(写真 夏越の祓/白山中居神社)
また京都では夏越の祓にちなみ、
水無月という和菓子を食べる慣習があります。
かつて旧暦6月1日に、氷室(ひむろ)に保存された
冬場の氷が宮中へ運ばれていました。
夏の健康を祈って献上された貴重な氷の塊は
一般人が口にすることはありませんでした。
お菓子の水無月は氷に見立てた三角の外郎を台にして、
魔滅(まめつ)に通じる小豆をのせています。(写真 仙太郎さんの水無月)
今回は一年の前半の厄を祓い、
後半の健康と厄除けを願う行事や慣習をご紹介いたしました。
平穏な日常生活が過ごせますようにと心より祈ります。
2020年6月1日
薬剤師、国際中医師、国際中医薬膳師、紡ぐしあわせ薬膳協会認定講師 伊東千鶴子