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<薬膳コラム>
2019年10月15日(火)
【薬膳コラム】鮭
国際中医師、国際中医薬膳師、薬剤師、
紡ぐしあわせ薬膳協会認定講師の伊東千鶴子です。
鮭は川で生まれ、餌を求めて大海に出て、
成熟すると生まれた川をさかのぼり、産卵、放精します。
産卵のために北海道や東北など生まれた河川に
戻ってきたものを秋鮭とも呼び、栄養分を蓄えた
この時期が旬にあたります。
鮭の卵のうち、卵巣膜でつながったものは筋子、
膜を外してばらばらになったのはいくらと呼ばれます。
鮭の身や筋子、いくらの赤色はアスタキサンチンという
カロテノイド色素によるもので、元々は白身魚の鮭が
アスタキサンチンを多く含む海老などの餌を食べることで、
その色素が体内に蓄積して赤く変わります。
アスタキサンチンは老化の原因になる活性酸素を抑制する働きがあり、
ビタミンEの600~1000倍ともいわれるほど抗酸化力が強く、
眼の調節機能障害改善、筋肉持久力向上や筋肉損傷軽減、
血管内皮細胞保護、美肌作用、生活習慣病の予防や改善、
疲労改善などにおいて研究が続けられ、
幅広い用途へと期待されています。
海を回遊した後、生まれた川を見つけ出し、
遡上するほどのパワーを持つ鮭は気を補い、血を補い、
気の巡り、血の巡りをよくします。さらに脾胃を温め、腸を潤し、
便通を促し、生命エネルギーの気と血が不足している状態、
疲労、血色不良、冷えによる胃痛、腹部の冷えによいとされています。
筋子やいくらは腎精を補うので、
生命エネルギーの気が不足している状態や疲労、
精力不足の時に取り入れるといいでしょう。
コレステロールは多いのですが、
中性脂肪値を下げる多価不飽和脂肪酸も豊富です。
鮭の身や筋子、いくらの鮮やかなビタミンカラーは
見た目からも元気にしてくれそうです。
さて、どのように調理していただきましょうか。
食欲の秋を楽しめますね。
2019年10月15日
国際中医師、国際中医薬膳師、薬剤師、
紡ぐしあわせ薬膳協会認定講師 伊東千鶴子