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<薬膳コラム>
2019年9月1日(日)
【薬膳コラム】五行から見る秋の健康法
国際中医師、国際中医薬膳師、薬剤師、
紡ぐしあわせ薬膳協会認定講師の伊東千鶴子です。
中医学は中国古典哲学を基として発展した医学です。
そのなかで、あらゆるものを木、火、土、金、水に
分類した五行説は病気の機序や治療などにも使われます。
さて、秋も深まっていくと、気温は徐々に低くなり、
空気が乾燥してきます。秋の邪は燥邪といい、
今の時期の夏の名残の暑熱と燥が合わさったのが温燥、
晩秋の頃の燥と冬に向かう寒さが合わさったのが涼燥とよばれます。
肺(呼吸器系を含む)は秋の乾燥した空気を嫌い、
機能低下がみられるようになります。
さらに、気温が低くなるにつれて皮膚の腠理(そうり:毛穴)が
閉じて汗をかかなくなり、皮膚が乾燥してきます。
それに伴って風邪にかかりやすい、鼻や口、のどのいがらっぽさや
唇の割れ、皮膚のかさつき、便秘などの症状が起こりやすくなります。
ここ近年、猛暑の夏が続いています。
以前コラムでお伝えいたしましたように、夏の間は大量に汗をかき、
汗(津液)とともに気も流出するので、津液を生み出す、
気を補う食物を摂って、夏の後始末をしましょう。
暑さによる食欲不振、冷たいもの、生ものの摂り過ぎなどで
弱まった脾がつかさどる消化吸収の働きを正常に戻す食物を摂ることも必要です。
うるち米、黒米、玄米、はとむぎ、もち米など穀類、さつまいも、
じゃがいも、やまいもなどいも類、黒豆、ささげ、大豆などの豆類、
かぼちゃ、いわし、牛肉、うずらの卵、卵黄などがそうです。
五行には土は金を生むという相生関係があり、土は脾、金は肺にあたります。
金(肺)を生む土(脾)が弱っていれば、秋になって肺の病が出やすくなります。
今のうちに脾を補うと、それが軽減されるかと思われます。
そして、これから出回るやまいも、百合根、柿、梨、みかん、
りんご、銀杏など肺を潤す食物も取り入れて、秋を健やかに過ごしましょう。
2019年9月1日
国際中医師、国際中医薬膳師、薬剤師、
紡ぐしあわせ薬膳協会認定講師 伊東千鶴子