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<薬膳コラム>
2019年8月15日(木)
冬瓜
国際中医師、国際中医薬膳師、薬剤師、
紡ぐしあわせ薬膳協会認定講師の伊東千鶴子です。
8月8日に立秋を迎えて暦の上ではもう秋なのですが、残暑厳しく、
体調がすぐれない方も多いかと思います。暑くて多量の汗をかくと、
身体に必要な水分である津液とともに、気も一緒に身体の外に出てしまい、
疲れや倦怠感、食欲不振などがあらわれます。
また、秋の兆しを感じるまでは暑いだけではなく、湿度も高いので、
体温の上昇やのどの渇きなど暑さに伴う症状だけでなく、手足のだるさ、
胸苦しさ、悪心嘔吐、下痢など湿による症状もみられることが多くあります。
酷く暑かった昨年の夏、食欲もなくなって調理するのもおっくうになっていたのに、
野菜売り場で見かけた冬瓜が急に食べたくなりました。昆布と鯵の煮干しで出汁をとり、
薄味の葛煮にすると、おいしくいただくことができました。
冬瓜は夏に収穫して冬まで日持ちするのがその名の由来です。
その食性は涼、やや身体を冷やすので、暑気払いとして
召し上がるのをおすすめします。冬瓜には身体の余分な熱を冷ます、
胸部の熱感やいらいらを取り除く、余分な水分を排泄させる、
むくみを取り去る、身体に必要な水分を生み出して潤す、
蓄積した老廃物や病邪を取り除く働きがあります。
水分が90パーセント以上を占め、カリウムやビタミンCが
豊富なのも、その裏付けとなるでしょう。
冬瓜の皮は冬瓜皮(とうがひ)という利水滲湿(りすいしんしつ)の生薬で、
体内にたまった余分な水分をにじみだせて尿から排出させます。
なので、お小水の出がよくない方なら、
なるべく皮を薄めにむいて調理されるとよいでしょう。
2019年8月15日
国際中医師、国際中医薬膳師、薬剤師、
紡ぐしあわせ薬膳協会認定講師 伊東千鶴子