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<薬膳コラム>
2019年2月15日(金)
春を食す 菜の花
国際中医師、国際中医薬膳師、薬剤師、紡ぐしあわせ薬膳協会認定講師の伊東千鶴子です。
2月4日の立春を過ぎ、暦の上では既に春を迎えています。まだ寒さの残るこの時季に春らしさを
見つけると嬉しくなってしまうのは、私だけでしょうか。お店で菜の花のような春野菜を見かけた時もそうです。
冬は閉蔵(へいぞう)といわれ、もろもろのものが門戸を閉めてとじこもる季節でした。
春になって黄色いつぼみを覗かせる菜の花は独特のほろ苦さがあり、冬の間、
体内にため込んだ老廃物を取り除きます。さらに身体を温め、血行を良くして、
これからの季節に向けて活動できやすいよう、人体に働きかけます。
現代栄養の面からみると、菜の花はカロチン、ビタミンC、B2、K、ナイアシン、
パントテン酸、葉酸などのビタミンやカリウム、鉄、カルシウム、マンガンなどのミネラル、
スルフォラファンというフィトケミカル、食物繊維を豊富に含有しています。
髙田郁さんの江戸を舞台とした時代小説「みをつくし料理帖」を読み、油菜(あぶらな)は
種から油を採取するために栽培されていたことを知りました。油に変わればお金になるはずの
貴重な油菜をつぼみのうちに摘み取ってふんだんに使った「菜の花尽くし」という話に描かれています。
降り積もる雪、薄曇りの空という水墨画のような冬の色合いも趣がありますが、黄色い花に
鮮やかな緑色の茎葉が映える菜の花を取り入れて、食卓で春の彩りを楽しみませんか。
何と一緒に、どのように調理してと考えるだけで、きっと気持ちも華やぎますよ。
平成31年2月15日
国際中医師、国際中医薬膳師、薬剤師、紡ぐしあわせ薬膳協会認定講師 伊東千鶴子