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<薬膳コラム>
2018年6月15日(金)
【薬膳コラム】とうもろこし
国際中医師、国際中医薬膳師、薬剤師、紡ぐしあわせ薬膳協会認定講師の伊東千鶴子です。
雨が多くて、湿度が高く、蒸し暑い今日この頃、梅雨は湿の季節です。
気候の変化は万物を生長させるのに必要なものですが、異常な気候変化や
急激な気候変化などにより、人に抵抗力がないと、湿が邪になって人体に侵襲し、
病気を誘発します。外部からの湿邪によって消化吸収をつかさどる脾が侵されて機能が低下すると、
体内に湿がたまりやすくなります。脾が弱まって水分代謝がうまくできなくなると、
外部からの湿邪に侵襲されやすくなります。
湿には重濁、粘滞、下に向かうという性質があり、湿を受けると、頭が締めつけられるように重い、
全身や手足がだるくて重い、むくみ、目やに、お小水の濁り、おりもの、下痢、湿疹などが現れ、
治りにくく、症状は下半身に出ることが多いです。
さて、とうもろこしが採れる季節となりました。とうもろこしは缶詰や冷凍品が流通していて、
一年中手に入る食材ですが、やはり新鮮なものは格別美味しいですよね。
今が旬のとうもろこしには、湿によって弱っている消化器官を健やかにし、気を補い、
湿邪をお小水で排泄し、胆汁の出を円滑にする働きがあります。旬の食材はその季節に必要な食材です。
とうもろこしは湿の季節にふさわしい食材だと思いませんか。
また、とうもろこしは実よりもひげの方が体内の余分な水分を出す作用や腫れやむくみを取る、
胆汁を出す働きが強く、さらに母乳の出を良くします。とうもろこしのひげは花柱と柱頭を指し、
日本では南蛮毛(なんばんもう)、中国名では玉米鬚(ぎょくべいしゅ)といわれる生薬でもあり、
腎臓疾患、水腫、脚気、肝炎、胆道結石、黄疸、糖尿病などに用いられてきました。
今は湿度が高く、身体がむくみがちな季節ですので、生のとうもろこしが手に入ったら、
体内の余分な水分を排出するとうもろこしのひげは捨てずに、細かく刻んで
実と一緒に料理に使うか、干してお茶にしてお飲みになってはいかがでしょうか。
平成30年6月15日
国際中医師、国際中医薬膳師、薬剤師、紡ぐしあわせ薬膳協会認定講師 伊東千鶴子