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<薬膳コラム>
2018年3月1日(木)
【薬膳コラム】陳皮
国際中医師、国際中医薬膳師、薬剤師、紡ぐしあわせ薬膳協会認定講師の伊東千鶴子です。
子供の頃、こたつに入ってみかんを食べるのが、冬の楽しみのひとつでした。
皆様はいかがでしょうか。薬膳の観点からいいますと、みかんには食欲を起こす、
気の巡りを良くする、肺を潤す、のどの渇きを癒す、人体に必要な水分を生み出す働きがあります。
ウンシュウミカンの果皮は生薬であり、その名は橘皮(きっぴ)、また陳旧な古いものほど
薬効が優れているので、陳皮(ちんぴ)とも呼ばれていますが、こちらの方が良く
知られているのではないでしょうか。悪心や嘔吐などを改善する二陳湯(にちんとう)という方剤は
半夏(はんげ)、陳皮、茯苓(ぶくりょう)、甘草(かんぞう)、生姜(しょうきょう)の
五つの生薬で構成されていて、そのうち半夏と陳皮の二つは陳旧品ほど良いといわれていることから、
その名が付いています。
陳皮は特有の芳香を持ち、気の滞りや水滞(体内の余分な水分)をなくし、
消化機能を円滑にします。芳香性健胃薬として平胃散(へいいさん)、六君子湯(りっくんしとう)など
脾胃の不調に用いる方剤に配合されています。また、七味唐辛子の材料として食養生の一端を担います。
陳皮だけでなく青皮(せいひ:未成熟のミカン類の果皮)、枳実(きじつ:ダイダイなどの幼果)など、
気の巡りを良くして、気の滞りを解消する理気薬といわれるものには柑橘類が多いです。
またみかんだけでなく、きんかん、グレープフルーツ、シークワーサー、すだち、たちばな、
ネーブル、柚子など柑橘類の果肉にも理気の働きがあります。
気の流れが良くなくて、いらいらする、怒りっぽくなる、気持ちが落ち込む時、胸苦しい、
胸がつかえる時、おなかが張って痛い、食欲がない時に、理気のものを取り入れると、
気の滞りを取り払ってくれます。それらの香りをかぐだけでも、少しは癒されるはずです。
もうすぐ暖かな春がやってきます。新年度を迎えるこの時期には新しい
自分になれそうな気がしませんか。ストレスの現れやすい時期でもありますが、動き出しましょう。
平成30年3月1日
国際中医師、国際中医薬膳師、薬剤師、紡ぐしあわせ薬膳協会認定講師 伊東千鶴子