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<薬膳コラム>
2017年10月15日(日)
【薬膳コラム】白きくらげと黒きくらげ
国際中医薬膳師、薬剤師、紡ぐしあわせ薬膳協会認定講師の伊東千鶴子です。
秋が深まり、一段と涼しくなりました。気温が下がり、
空気も乾燥していて、のどを痛めている方、咳の出る方が増えてきたようです。
肺は五臓六腑のなかで身体の一番上に位置し、他の臓腑を傘で覆うようにあるため、
華蓋(かがい)と呼ばれています。また肺は嬌臓(きょうぞう)という別名があるほど、
脆くて弱く、外邪に侵されやすい臓です。秋の乾燥した空気が邪となって、
肺が弱まり、のどの痛み、咳、痰、鼻水などの症状が現れ、肺と同様、肺の腑である大腸、
肺から栄養を受け取る皮膚も燥邪の影響を受けて、便秘や肌荒れ、皮膚疾患などが起きやすくなります。
薬膳を学び始めた頃、「銀耳」という食材を知りました。白きくらげというきのこで、
乾物が流通しており、水で戻して調理に使います。白きくらげは身体に
必要な水分である津液を生み出して、体液を補充し、乾燥を嫌う肺を潤し、
胃の消化を円滑にする働きがあります。今の季節、身体に潤いが足りなくて生じる空咳や血痰、
口のかわき、肌の乾燥などが気になるときに取り入れてはいかがでしょう。
梨やりんごなどと一緒にシロップ煮にすることが多いようですが、梨やりんご、
氷砂糖や蜂蜜にも肺を潤すなどの働きがあるので、甘く美味しくて身体にもよい薬膳になりますよね。
肺を潤す食材はやまいも、銀杏、落花生、百合根、れんこん、柿、みかんなどが挙げられます。
一方、黒きくらげというきのこは中華料理の具材として口にすることがあるかと思います。
生のものも出回っていて、時々、市場で見かけます。黒きくらげ(木耳)は体液や
精という生命の根本となるものを補充するほか、白きくらげより鉄分の含有が多く、
血液を増やし、血液の余分な熱を冷まして、炎症からの出血を止めます。貧血や不定出血、
下血などのある時によいでしょう。
最後までお読み下さり、ありがとうございました。次の掲載は11月1日です。
平成29年10月15日
国際中医薬膳師、薬剤師、紡ぐしあわせ薬膳協会認定講師 伊東千鶴子