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<薬膳コラム>
2017年10月1日(日)
【薬膳コラム】なつめ 大棗
国際中医薬膳師、薬剤師、紡ぐしあわせ薬膳協会認定講師の伊東千鶴子です。
皆さんは生のなつめを召し上がったことがありますか。
以前、知人から、おうちの木に実ったなつめをいただきました。
そのまま食べたところ、りんごのような甘酸っぱい味がしました。
なつめの調理法は醤油と砂糖の甘露煮が一般的なようですが、
その時は本みりんにレモン汁を加えて煮たコンポートにしてみました。
なつめは消化吸収の機能を正常にし、気や血を補い、疲労や食欲不振によく、
鉄分、カルシウム、カリウム、マグネシウムなどのミネラルや食物繊維を豊富に含みます。
五行説に基づいて配当されたすもも(李)、あんず(杏)、なつめ(棗)、
もも(桃)、くり(栗)は五果と呼ばれていて、なつめは土の属性を持つ脾を
補助する果実にあたります。何年か前、中国山東省のスーパーに立ち寄ったところ、
大きなケースに入ったなつめの乾燥果実が量り売りされていて、さらには加工されたなつめの商品も
大阪のスーパーのソース売り場に匹敵するくらい、何種類も大量に陳列してありました。
現地の方々がなつめを多用して、日頃より消化吸収をつかさどる臓をいたわっている様子を垣間見ることができました。
クロウメモドキ科ナツメの乾燥果実は大棗(たいそう)という生薬で、
「脾の果」という別名があります。また大棗は精神不安や不眠にもよく、
甘草(かんぞう)、小麦(しょうばく)、大棗(たいそう)が配合された
甘麦大棗湯(かんばくたいそうとう)は漢方の古典である金匱要略(きんきようりゃく)に
婦人の神経症に用いると記されていて、現代では夜泣き、ひきつけに保険適応されています。
食薬であるなつめの乾燥果実は一部のスーパーや食料品店、漢方薬局でも取り扱っています。
甘くて美味しいので、お粥やスープ、お茶、そのままあるいは餡にしてスイーツなどで、
薬膳に取り入れてはいかがでしょう。
平成29年10月1日
国際中医薬膳師、薬剤師、紡ぐしあわせ薬膳協会認定講師 伊東千鶴子