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<薬膳コラム>
2017年8月1日(火)
【薬膳コラム】暑中お見舞い申し上げます
国際中医薬膳師、薬剤師、紡ぐしあわせ薬膳協会認定講師の伊東千鶴子です。
本格的な夏を迎え、お元気でお過ごしでしょうか。
夏は陽気が最も盛んな時で気温も高く、蕃秀といって万物が勢いよく成長する季節です。
自然界に生きている人間は季節の移り変わりとともに生じる気候変化の影響を受けます。
気候が激しく変化し、人体の適応能力を超えると、発病の原因となることがあります。
これを六淫(りくいん)と呼び、夏には暑邪が高熱、多汗、顔面紅潮、口渇多飲などを
引き起こします。さらに暑邪は大量発汗により、身体を潤す津液を消耗させて、
津液とともに生命エネルギーである気を流出し、めまい、息切れ、疲労倦怠感などをもたらします。
暑くてのどが渇きますが、冷たいもの、生もの、水分の摂り過ぎは脾という
消化吸収をつかさどるところを傷めてしまいます。
気血津液を生み出す源でもある脾の働きが弱まると、生命活動を維持する
気血津液が充分に作れず、夏ばてから回復しづらくなります。
水分はこまめに少しずつ補給しましょう。汗をかいた時は水分とともに
塩分も必要で、梅干を入れたお茶も経口補水液の代わりになります。
梅のような酸味の食材は収斂(しゅうれん)、固渋といって汗の出過ぎを防いでくれます。
今が旬の食材には体内にこもった熱を冷まし、暑さを鎮め、口渇を癒し、
津液を潤す働きがあるので、大いに取り入れましょう。
きゅうり、ズッキーニ、冬瓜、なす、レタス、苦瓜、トマト、
オクラ、西瓜、メロンなどが挙げられます。また気を補い、脾の働きを
健やかにするには米、いも類、豆類、とうもろこしなどを摂りましょう。
沖縄の家庭料理であり、もはや全国に広まっているゴーヤチャンプルでは
メインの苦瓜(ゴーヤ)が暑邪を取り除きます。体内の熱を冷まし津液を
潤す豆腐、津液や血を補う鶏卵、気血津液を補う豚肉などを具材に加えれば、
暑い夏を元気に過ごす薬膳になりませんか。
8月7日は立秋、暦の上では秋が始まる日ですが、もうしばらく
暑い日が続きそうですね。どうかご自愛くださいませ。次の掲載日は8月15日です。
平成29年8月1日
国際中医薬膳師、薬剤師、紡ぐしあわせ薬膳協会認定講師 伊東千鶴子