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<薬膳コラム>
2017年7月1日(土)
【薬膳コラム】紫蘇
国際中医薬膳師、薬剤師、紡ぐしあわせ薬膳協会認定講師の伊東千鶴子です。
雨が続くと、梅雨明けが待ち遠しくなりますね。梅酢があがってきたら赤紫蘇を加えようと、
先日塩漬けした梅の入ったかめの蓋を開けて、様子をみています。
これもまた仕上がりが待ち遠しいです。梅干に赤紫蘇を入れるのは赤く
色付けするためだけでなく、抗菌や防腐なども目的としています。
紫蘇という名前の由来は、中国の華佗(かだ)という名医が蟹を食べて
食中毒になった若者にその植物を用いた紫色の煎じ薬を与えたところ、
若者は蘇ったからと伝えられています。
お刺身などの料理に青紫蘇が添えてありますよね。紫蘇は解魚毒といって
魚介類に含まれる毒素を消し去ってくれるので、残さずに召し上がって下さいね。
シソやチリメンジソの葉は蘇葉(そよう)、葉と茎枝を合わせたものは紫蘇(しそ)と
呼ばれる生薬で、辛味温性の体表を開いて浅い部分にある邪気を追い払い、
身体を温める辛温解表薬に分類されます。桂枝(シナモン)、生姜、
葱白(葱の白いところ)などもその仲間で、寒気を伴う風邪のひきはじめに
それらをお粥や汁物などに入れるか、お茶にして飲んではいかがでしょうか。回復が早くなりますよ。
蘇葉は胃腸虚弱で神経質な方の風邪の初期に効果がある香蘇散(こうそさん)や
胃腸が弱く、気分がふさいで、咽喉や食道部に異物感がある方の不安神経症、神経性胃炎、
つわり、咳、しわがれ声に用いられる半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)などの漢方薬に配合されています。
また塩漬けなどで食されるチリメンジソなどの種子を含む分果も蘇子(そし)という咳や喘息、便秘などに用いられる生薬です。
蘇葉は香気が強い初夏のうちに葉を摘み、乾燥して使い、新しいものが良品で、
あまり長く煎じてはいけないとされています。紫蘇を料理に使う時もなるべく新鮮なものを、
加熱は短めにあるいは生で召し上がるのがよろしいかと思います。
最後までお読み下さり、ありがとうございました。次の掲載は7月15日です。
平成29年7月1日
国際中医薬膳師、薬剤師、紡ぐしあわせ薬膳協会認定講師 伊東千鶴子